研究の強み

Research Strengths

YNUでは、世界と日本の人々の福祉と社会の持続的発展に貢献する「実践的学術の国際拠点」として「知」を創造・実践しています。個々の研究だけでなく、先端科学高等研究院では重点的研究のユニットを形成するとともに、研究推進機構が優れた研究プロジェクトを「YNU研究拠点」として認定し、学内および国内外の他機関の研究者との共同研究を促進しています。また、海外の140以上の大学と学術交流協定を締結するとともに、毎年、海外の大学から約300人の研究者を受け入れています。

1強い分野

YNUは、以下の分野において、科学研究費助成事業※1の2020-2024年度の間の新規採択累計数※2が国内でトップ10に入っています。

※1 「科学研究費助成事業」とは人文学、社会科学から自然科学まで全ての分野にわたり、基礎から応用までのあらゆる「学術研究」(研究者の自由な発想に基づく研究)を格段に発展させることを目的とする「競争的研究資金」であり、ピアレビューによる審査を経て、独創的・先駆的な研究に対する助成を行うもの。

※2 ここでは、「基盤研究(B)」、「基盤研究(C)」および「若手研究」において、新規採択累計数5件以上の分野に限定。

分 野 国内順位 新規採択累計数 累計配分額(単位:千円)
経営学関連 10位 18 124,930
構造工学および地震工学関連 1位 8 83,330
船舶海洋工学関連 6位 8 97,240
特別支援教育関連 7位 7 43,030
航空宇宙工学関連 7位 7 86,580
日本語教育関連 7位 6 39,130
安全工学関連 3位 6 65,650
バイオ機能応用およびバイオプロセス工学関連 8位 6 54,860
光工学および光量子科学関連 3位 6 94,900
経済統計関連 4位 5 20,280
材料力学および機械材料関連 9位 5 61,620
熱工学関連 10位 5 20,020
構造材料および機能材料関連 6位 5 35,620
エネルギー関連化学 10位 5 49,920

2卓越した研究

YNUでは、以下の分野・プログラムが、過去5年間に科学研究助成事業の「基盤研究(S)」および「基盤研究(A)」に採択されています。

※「基盤研究(S)」とは科学研究費助成事業の中心となる研究種目である基盤研究の中で、「安定的な研究の実施に必要な研究期間」と「研究遂行に必要かつ十分な研究費の確保」により、これまでの研究成果を踏まえて、さらに独創的、先駆的な研究を格段に発展させるために設けられている研究種目。原則5年間、1課題につき5,000万円以上2億円程度まで支給される大型の研究費。例年、日本全国で90件程しか新規採択されていない。

研究分野・領域 氏 名 採択時の所属・職名 プログラム名・研究内容等
ナノマイクロ科学関連 小坂 英男 工学研究院・教授 ダイヤモンド量子ストレージにおける万能量子メディア変換技術の研究
電気電子工学関連 竹村 泰司 工学研究院・教授 磁性ナノ粒子のダイナミクス解明が拓く革新的診断治療技術
電気電子工学関連 吉川 信行 工学研究院・教授 可逆量子磁束回路を用いた熱力学的限界を超える超低エネルギー集積回路技術の創成
電解合成、電解重合、有機電気化学関連 跡部 真人 工学研究院・教授 固体高分子電解質電解技術に基づく革新的分子変換プロセスの開発
電気電子工学関連 吉川 信行 工学研究院・教授 超低消費エネルギー高集積断熱量子磁束ロジックの創生
材料力学、生産工学、設計工学関連 太田 裕貴 工学研究院・准教授 高集積ストレッチャブルデバイスを実現する液体金属を用いた超微細伸縮電気配線の研究
機械学習、進化計算法、知能情報学関連 長尾 智晴 総合学術高等研究院・特任教員(教授) 段階的共進化による汎用神経回路網の自動構築に関する研究
光造形、3Dプリンター、マイクロ光学デバイス、マイクロマシン、バイオマイクロマシン、光マニピュレーション関連 丸尾 昭二 工学研究院・教授 未来医療を切り拓く4Dプリンテッド・ソフトマイクロロボットの創製
人間情報学関連 岡嶋 克典 環境情報研究院・教授 視野全域における光感受性網膜神経節細胞と杆体の応答を加味した五元測色学の構築
無機材料化学、エネルギー関連化学関連 獨古 薫 工学研究院・教授 リチウム塩溶媒和物のイオンホッピング伝導を利用した革新的電解質膜の創製
応用物理工学関連 馬場 俊彦 工学研究院・教授 極限光集積ライダチップ
材料工学関連 多々見 純一 環境情報研究院・教授 希土類添加α-サイアロンセラミックスの高透明化とレーザー材料への応用
無機材料化学、エネルギー関連化学関連 藪内 直明 工学研究院・教授 アニオンレドックスの可逆性を支配する原理解明と革新的蓄電池材料設計への応用
電気電子工学関連 藤本 康孝 工学研究院・教授 エネルギー回生可能な革新的双方向アクチュエータの実現
電気電子工学関連 水野 洋輔 工学研究院・准教授 光ファイバ型相関領域反射計による歪・温度の高速分布測定:極限性能の追究と実用化
応用物理物性関連 一柳 優子 工学研究院・教授 スーパースピングラス磁気ナノ微粒子の創製とナノ・セラノスティクスの実現
土木工学関連 前川 宏一 都市イノベーション研究院・教授 広帯域環境下にあるセメント系複合材料の耐久性力学と構造性能評価
電気電子工学関連 竹村 泰司 工学研究院・教授 磁性ナノ粒子のダイナミクス解明が拓く革新的診断治療技術
材料力学、生産工学、設計工学関連 太田 裕貴 工学研究院・准教授 ストレッチャブルシステムの社会実装に向けた超柔軟材料のR2R加工プロセスの開発

ムーンショット型研究開発制度 採択プロジェクト

ムーンショット目標 研究開発プロジェクト PM 所属・職名
目標6 2050年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現 量子計算網構築のための量子インターフェース開発 小坂 英男 工学研究院・教授
目標8 2050年までに、激甚化しつつある台風や豪雨を制御し極端風水害の脅威から解放された安全安心な社会を実現 安全で豊かな社会を目指す台風制御研究 筆保 弘徳 教育学部・教授

※「ムーンショット型研究開発制度」とは、超高齢化社会や地球温暖化問題など重要な社会課題に対し、人々を魅了する野心的な目標(ムーンショット目標)を国が設定し、挑戦的な研究開発を推進するもの。各目標には、それぞれ複数のプロジェクトを統括するPD(プログラムディレクター)が任命されている。そのPDの下、国内外トップの研究者から研究開発プロジェクトの提案者及び推進責任者となるPM(プロジェクトマネージャー)として採択される。

研究費の受入状況
www.ynu.ac.jp/education/ynu_research/accept

3世界にインパクトを与える論文

Web of Science※1によると、2020-2024年度に発表されたYNUの論文は、特に以下の分野において世界中で引用されています。

※1 Web of Scienceとは、世界を代表する学術文献データベースのひとつ。1900 年にまで遡る世界中の21,000誌(2019年11月現在)を超える影響力の大きい学術雑誌や重要刊行物を対象に、分野を横断した検索を実行して引用文献パターンを分析することができる。

分 野 YNU論文数 CNCI※2 被引用数 被引用数世界
トップ1%論文
被引用数世界
トップ10%論文
生態学 89 1.59 989 2.25% 16.85%
機器・計装 80 1.43 580 3.75% 11.25%
物理総合 86 1.23 1050 3.49% 11.63%
地質工学 52 1.22 201 0% 1.92%
光学 123 1.20 769 1.63% 8.13%
天文学・宇宙物理学 103 1.18 922 1.94% 9.71%
物理学、粒子、界 104 1.17 1125 4.81% 8.65%
機械工学 122 1.06 587 0.82% 7.38%

※2 CNCIとはCategory Normalized Citation Impactの略称。CNCIのポイントが1以上の分野は、世界水準以上であると言われている。

4優秀研究者賞受賞者

YNUでは、「個々の研究者の研究意欲向上」、「本学の研究力向上」、「将来の学術研究を担う優秀な研究者の育成」を目的として、2011年度に「横浜国立大学優秀研究者賞」を創設し、優れた研究成果を挙げた研究者を顕彰しています。2022年度の受賞者は以下のとおりです。

賞 名 受賞者 所属・職名 分野
学長特別賞 西澤 立衛 都市イノベーション研究院 教授 建築史、意匠
優秀研究賞 北村 圭一 工学研究院 准教授 航空宇宙工学、流体工学
岡嶋 克典 環境情報研究院 教授 感性情報学、リハビリテーション科学、知覚情報処理
技術進歩賞 藪内 直明 工学研究院 教授 ナノテク・材料 、 無機物質、無機材料化学
奨励賞 井上 史大 工学研究院 准教授 三次元実装、先端パッケージングの要素技術
社会貢献賞 福田 淳二 工学研究院 教授 バイオ機能応用、バイオプロセス工学、生体医工学、生体材料学、ナノマイクロシステム
菊本 統 都市イノベーション研究院 教授 土木工学、地盤工学、防災工学、文化財科学
過去の受賞者一覧
www.ripo.ynu.ac.jp/about/ynu_research/award/

5著名な賞の受賞者

YNUの教員は、過去5年間に以下の著名な賞を受賞しています。

賞 名 授与者 受賞者 受賞者所属
フェロー 米国電気電子学会IEEE 落合 秀樹 工学研究院
令和4年度産業標準化事業表彰【経済産業大臣表彰】 経済産業省 眞田 一志 工学研究院
令和4年度産業標準化事業表彰【経済産業大臣表彰】 経済産業省 多々見 純一 環境情報研究院
防災功労者内閣総理大臣表彰 内閣府 菊本 統 都市イノベーション研究院
フェロー OPTICA (アメリカ光学会) 馬場 俊彦 工学研究院
令和4年春 紫綬褒章 渡邉 正義 先端科学高等研究院先進化学エネルギーセンター長(名誉教授)
令和4年度科学技術分野の文部科学大臣表彰【科学技術賞(研究部門)】 文部科学大臣 北村 圭一 工学研究院
フェロー 米国電気電子学会IEEE 馬場 俊彦 工学研究院
第18回(令和3年度)日本学術振興会賞 独立行政法人日本学術振興会 森 章 環境情報研究院
令和3年度文化功労者 文部科学省 唐 十郎 元教育人間科学部教授
令和3年度産業標準化事業表彰【経済産業大臣表彰】 経済産業省 酒井 信介 先端科学高等研究院
リスク共生社会創造センター
令和3年度科学技術分野の文部科学大臣表彰【若手科学者賞】 文部科学大臣 癸生川 陽子 工学研究院
令和3年度科学技術分野の文部科学大臣表彰【若手科学者賞】 文部科学大臣 島 圭介 工学研究院
令和3年度科学技術分野の文部科学大臣表彰【若手科学者賞】 文部科学大臣 西島 喜明 工学研究院
令和3年度科学技術分野の文部科学大臣表彰【若手科学者賞】 文部科学大臣 水野 洋輔 工学研究院
令和3年度科学技術分野の文部科学大臣表彰【若手科学者賞】 文部科学大臣 竹内 尚輝 先端科学高等研究院
令和2年度文化庁長官表彰 文化庁 門倉 正美 名誉教授
令和2年度文化庁長官表彰 文化庁 宮坂 元裕 名誉教授
令和2年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰【若手科学者賞】 文部科学大臣 太田 裕貴 工学研究院
令和2年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰【若手科学者賞】 文部科学大臣 上野 和英 工学研究院
2019年度濱口梧陵国際賞【国土交通大臣賞】 国土交通省 柴山 知也 名誉教授
パラグアイ共和国上院議会 表彰 パラグアイ共和国上院議会 藤掛 洋子 都市イノベーション研究院
平成31年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰【若手科学者賞】 文部科学省 北村 圭一 工学研究院
令和元年度環境保全功労者表彰 環境大臣 藤江 幸一 先端科学高等研究院
日本学士院賞 日本学士院 藤野 陽三 先端科学高等研究院
第67回(平成30年度)横浜文化賞・芸術奨励賞 横浜市 藤原 徹平 都市イノベーション研究院

注目の国際プレスリリース

Notable International Press Releases

国際的な科学ニュースサイトEurekAlert!において、本学から発信した国際プレスリリースの中から、10本のニュースをピックアップして紹介します。この他のニュースについても、大学のウェブサイトの「国際プレスリリース」で詳細を確認することができます。

実用的な高エネルギー密度のコバルト・ニッケルフリー電池材料を開発

2024年8月26日に ACS Central Science にオンライン掲載

工学研究院の藪内直明教授(担当学部:理工学部化学・生命系学科化学EP)、名古屋工業大学中山将伸教授、島根大学尾原幸治教授らの研究グループは、ナノ構造を高度に制御したリチウムマンガン酸化物材料を開発し、本材料がコバルト・ニッケルフリーでありながら、高エネルギー密度・長寿命の電池正極材料となることを発見しました。商用的規模で大量生産が可能な技術を利用し、材料の比表面積とナノ構造を高度に制御する方法論を確立し、既存のニッケル系層状材料に匹敵するエネルギー密度をマンガン系材料で達成可能であることを立証しました。また、急速充電も可能な材料であり、リチウムイオン蓄電池と電気自動車の高性能化・低コスト化の両立実現に繋がる研究成果です。

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シナモンの成分による脱毛症治療の可能性

2024年2月27日に Scientific Reports にオンライン掲載

工学研究院/KISTECの景山達斗助教/研究員、福田淳二教授(担当学部:理工学部化学・生命系学科バイオEP)/グループリーダーらの研究グループは、毛包オルガノイドを用いて、シナモンの成分であるケイヒ酸が育毛効果をもつ可能性を示しました。ケイヒ酸は、毛乳頭細胞のオキシトシン経路を活性化し、育毛を促進します。この知見は、育毛剤や化粧品の開発に役立つと期待できます。

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医薬品関連物質の持続可能な合成方法を開発

2024年10月7日に Journal of the American Ceramic Society に掲載

"工学研究院の信田尚毅准教授(担当学部:理工学部化学・生命系学科化学EP)、跡部真人教授(担当学部:理工学部化学・生命系学科化学EP)らの研究チームは、電気エネルギーを活用して、ピリジンなどの窒素を含む芳香族化合物を効率的に還元し、高付加価値の環状アミンであるピペリジンを合成する新手法を開発しました。ロジウム触媒を使用し、アニオン交換膜を備えた電解リアクターを採用することで、従来の高温・高圧を必要とする熱化学的なプロセスと比較して、常温・常圧下で効率的に合成できるようになりました。この技術は、医薬品やファインケミカル分野への応用が期待され、持続可能な化学品の製造プロセスに新たな展望をもたらします。特に、エネルギー消費量と二酸化炭素の排出を大幅に抑えることが可能であり、化学産業の脱炭素化に大きく貢献する可能性があります。"

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気候変動にどう向き合うか:生態系安定性の激変を緩和する生物多様性の役割

2024年6月12日に Global Change Biology に掲載

環境情報研究院の佐々木雄大教授(担当学部:都市科学部環境リスク共生学科)、ドイツ統合生物多様性研究センター(iDiv)のNico Eisenhauer教授、鳥取大学の衣笠利彦准教授、モンゴル気象水文環境研究所のGantsetseg Batdelger博士らの研究グループは、モンゴル草原を対象とした極めて大規模なモニタリングデータを用いて、気候変動による乾燥化の進行によって、乾燥地の植物群集の安定性が急速に損なわれる可能性を世界で初めて実証しました。

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ストレッチャブルデバイスとAIを統合した動作認識スマートシステムを開発

2024年8月7日に Device にオンライン掲載

工学研究院の太田裕貴准教授(担当学部:理工学部機械・材料・海洋系学科機械工学EP)らの研究グループは、柔軟性と伸縮性を持つ次世代ウェアラブルデバイス「ストレッチャブルデバイス」とAIを統合した動作認識システムを開発しました。従来のストレッチャブルデバイスは出力データが不安定で、高い再現性を求められるAIとの統合が困難でしたが、本研究では硬質なICにゴムのような高い柔軟性を有する基板と液体金属配線を組み合わせて、高いデータの再現性を両立できる「ストレッチャブルハイブリッドデバイス」を実現しました。また、このデバイスから得たデータをAIによって分類することで、10種類の結び目の形状、空中に書いた26種類のアルファベット、65種類の手話の単語をそれぞれ87%、98%、96%の正答率で分類することに成功しました。この成果により、柔軟エレクトロニクスとAI技術を融合した新たな知的システムの実現が期待されます。

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アルカンとベンゼンの直接結合反応のための金属ナノ粒子─ゼオライト複合触媒を開発:酸点とPd粒子の近接による反応の高効率化を実現

2023年9月6日に ACS Catalysis にオンライン掲載

工学研究院の本倉健教授(東京工業大学物質理工学院応用化学系特定教授)、東京工業大学物質理工学院応用化学系美崎慧大学院生(研究当時)、電気通信大学燃料電池・水素イノベーション研究センター三輪寛子特任准教授、日本原子力研究開発機構伊藤孝研究副主幹らの研究グループは、ゼオライトの外表面にPdナノ粒子を担持した触媒を開発し、この触媒を用いてアルカンとベンゼンの直接結合反応を実現しました。従来のアルキルベンゼン合成では副生成物が大量に排出されますが、本手法を用いると水素あるいは水のみが副生成物となります。ゼオライトの酸点からPdナノ粒子への水素原子の移動がこの反応の鍵であり、μ+SR法を用いた測定から原子状水素がゼオライト中に生成した場合、反応に必要な時間にわたってその状態を維持し得ることが示唆されました。

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低重力環境下における粉粒体の流動特性の測定に成功

2023年8月8日に npj Microgravity にオンライン掲載

Hourglassミッション:様々な天体の重力環境を再現し月や惑星の砂を降らせる実験

工学研究院尾崎伸吾教授、慶應義塾大学理工学部石上玄也准教授、JAXA宇宙科学研究所大槻真嗣准教授らの研究グループは、国際宇宙ステーションきぼうモジュールの細胞培養実験装置を活用することで様々な低重力環境を再現し、各種粉粒体(砂やレゴリス模擬土)の流動特性の測定に成功しました。長時間の安定した人工重力環境下(0.063G~2.0G)での粉粒体の流動挙動の測定およびその解析は世界初の成果です。また実験結果に基づき、いくつかの砂の流動特性はよく知られた物理法則に定量的に従い、低重力では重力の大きさの平方根(√G)に比例することを明らかにしました。加えて、測定結果の回帰分析により、砂の「かさ密度」は重力とともに減少することも示唆しました。得られた成果は、将来の宇宙探査機の開発や各種ミッションの検討に利用可能です。

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氷河・積雪の融解を抑制!?雪氷藻類に寄生するツボカビの実態を解明

2023年6月20日に Frontiers in Microbiology にオンライン掲載

「高山や氷河に出現するツボカビは雪氷藻類に寄生するツボカビである」ということを環境情報研究院の鏡味麻衣子教授ら及び千葉大学大学院理学研究院の竹内望教授の研究チームが明らかにしました。ツボカビは、カエルやプランクトンなど様々な生物に寄生する菌類として知られています。氷河や高山積雪のような寒冷環境では、その存在は確認されていましたが、何をしているのか明らかになっていませんでした。本研究では、ツボカビが雪氷藻類に寄生している様子を捉え、その1胞子からDNAを抽出することに世界で初めて成功し、系統関係を明らかにすることができました。さらに、これらツボカビは、世界中の高山に存在しうること、雪氷藻類に寄生することに特化したグループである可能性を示唆しました。近年、氷河や高山では、雪氷性の藻類の繁殖によって表面が色づき、融解が加速している事実が明らかになっています。その藻類にツボカビが寄生していることは、これらの藻類とツボカビの宿主―寄生者関係によって氷河や積雪の融解が抑制される可能性を示しています。

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気体から秩序形成する無機固体蛍光体

2023年5月5日に Journal of the American Ceramic Society にオンライン掲載

環境情報研究院の伊藤暁彦准教授、三觜佑理 (当時博士課程前期2年)、松本昭源 (当時博士課程後期3年) の研究グループは、サファイア–ガーネット共晶系における秩序構造の化学気相析出に成功しました。レーザー照射によって原料ガスの析出反応を促進することで、これまで溶融凝固法に限定されていたセラミックス共晶体の製造を、気相析出法で実現しました。サファイア透明体中にガーネット蛍光体を自己組織化させた蛍光体は、次世代の固体照明や高分解能X線撮像技術への展開が期待できます。

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ヒトiPSレポーター細胞を用いたシグナルかく乱を指標とする発生毒性試験法

2022年2月18日に iScience にオンライン掲載

工学研究院の福田淳二教授、国立医薬品食品衛生研究所の大久保主任研究官らの研究グループは、線維芽細胞増殖因子シグナルの攪乱を連続的にモニタリング可能なヒトiPSレポーター細胞を作り、シグナル攪乱を指標としてサリドマイドとその誘導体を含む発生毒性物質を高い正確度で検出できることを発表しました。

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